網膜・硝子体の治療・手術
ものを見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼球内に入ります。
水晶体で屈折されたあと、硝子体を通り、網膜に到達します。
網膜で感じとられた光の刺激が視神経を通って脳に伝えられ、「見える」と認識されます。
網膜の表面と硝子体は接しており、硝子体の収縮・炎症・出血・混濁などの障害が網膜の様々な疾患を引き起こす原因となります。
飛蚊症
ものを見ているときに黒い虫のようなものが、
動いて見える症状のことです。
生理的なものと目の病気が原因で起こるものとに分けられます。
生理的なのであれば特に治療は必要ありませんが、網膜剥離・硝子体出血・ぶどう膜炎などの病気が原因の場合は早急に治療が必要です。
そのためにも、飛蚊症を自覚された場合には一度眼底検査されることをお薦めいたします。
また、最近飛蚊症のレーザー治療が導入され始めていますが、完全に症状が消えるには個人差もあるため、場合によっては追加で硝子体手術をしないといけないケースもあります。
飛蚊症でお悩みの方には、今のまま経過観察をしていくのか、レーザー治療を受けるのか、
硝子体手術をする方がよいのかを網膜硝子体専門の院長が丁寧にお答えさせて頂きます。
網膜剥離
網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開いてしまい、目の中にある水(液化硝子体)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生します。
網膜剥離の前駆症状として飛蚊症や光視症を自覚することがありますが、病状が進んでくると視野欠損や視力低下を認めます。強度近視やアトピーで多くみられ、20代と50代の人に多い傾向があります。
治療としては、網膜裂孔・円孔だけであれば、レーザーによる網膜光凝固術を日帰りで行います(15分程度)。
網膜剥離が発生してしまった場合、手術が必要であり、放置した場合は失明してしまいます。
糖尿病網膜症
糖尿病腎症、糖尿病神経障害と並ぶ糖尿病の合併症であり、日本人の後天的な失明原因の第3位にあげられます。
国内糖尿病患者はおよそ950万人で、そのうちのおよそ3分の1の300万人が糖尿病網膜症に罹患しているといわれています。
具体的には、血糖値が高い状態が続くことで、大きな負担がかかって血管がもろくなり、血管の透過性が亢進したり、血管を閉塞したりすることにより、網膜の酸素や栄養が不足し網膜の破壊がもたらされる疾患です。
糖尿病網膜症は、初期に自覚症状が現れないために、眼科を受診するのが遅れ、
発見された時にはすでに重症化しているケースが少なくありません。
当院長も、多くの重症例を担当し、手術・治療を行ってきましたが、発見の時期が遅れてしまうとどうしても治療が後手に回ってしまうため、出来るだけ早期に発見し、進行を最小限にするために糖尿病と診断されたら、同時に眼科を受診することが大切です。
特に40-50代の方は仕事もあり、受診が途切れてしまいがちなのですが、
網膜症が急激に進行する年代でもありますので、自覚症状がなくても必ず定期的に眼底検査を行うことが重要です。
治療は様々な選択肢があり、適切な時期に適切な治療を行うことが重要になってきます。
当院では、抗VEGF治療・レーザー治療・ステロイド治療・硝子体手術といったあらゆる治療が行え、
糖尿病網膜症に対する豊富な治療経験・講演経験を持つ院長自らが患者さんの状態に応じて最適な治療を提案させて頂きます。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは黄斑部に滲出液(むくみ)や萎縮(やせ)を生じる病気です。
黄斑とはカメラのフィルムにあたる働きをする網膜という部分の中心を指します。
加齢黄斑変性になると、ものが歪んで見えたり、見たいところの中心が暗く見えたりし、視力が低下します。
加齢黄斑変性には脈絡膜新生血管を伴う滲出型と、萎縮のみが生じる萎縮型がありますが、
日本ではほとんどが滲出型といわれています。
治療は抗VEGF硝子体内注射と光線力学的療法(PDT)の2種類の治療がありますが、
PDTは適応基準と日常生活の制限を伴うため、抗VEGF硝子体内注射が第一選択となります。
具体的には、まず1カ月に1回硝子体内注射を行い、それを連続3回繰り返します。
その後は、通常2カ月に1回注射を続けますが、当院では患者さんと院長がしっかり話して今後どのようにしていくかを決めていきます。というのも、院長のこれまでの黄斑変性外来で、「高い注射を何回もしているのに良くならない」という患者さんがセカンドオピニオン目的でよく来られたからです。
黄斑変性もある程度進行してしまうと、注射をしてもあまり変化ないことが多く、
その場合は状況に応じて治療間隔を延ばすことも治療を継続していただける要因の一つと考えています。
黄斑上膜
黄斑上膜とは、黄斑の上にセロファンみたいな膜ができる病気です。
初期には無症状ですが、進んでくると視力が低下したり、物がゆがんで見えてきます。
治療としては手術以外の選択肢はなく、目薬では膜を取り除くことは出来ません。
手術の時期に関しては、患者さんひとりひとりの状態や考え方によって異なるため、尼崎総合医療センターでセカンドオピニオンも担当してきた院長が手術するかどうかも含めてじっくり話し合いをして決めさせていただきます。
当院では執刀経験豊富な院長自らが黄斑上膜の日帰り手術を行っています。
黄斑円孔
網膜の中心に穴があき、見たいところが見にくくなる病気です。
穴自体はとても小さなものですが、最も視力が鋭敏な部分にできるため、
完全な穴が形成されてしまうと、視力は眼鏡などで矯正しても0.1前後に低下します。
黄斑円孔になった場合は、手術が必要となります。